相続した屋敷
大叔母の遺言により、屋敷はただであなたのものになった。前の管理人は夕食の途中で去り、皿は今も食卓に残る。今夜、屋敷があなたのために開く扉と、ずっと閉ざしてきた扉を知る。
用意された台本の一覧ではなく、今すぐ始められる物語。ひとつを選ぶか、自分の恐怖を語ろう。どちらでも語り手が新しい世界を築き、二人のプレイヤーが同じ廊下を歩くことはない。
大叔母の遺言により、屋敷はただであなたのものになった。前の管理人は夕食の途中で去り、皿は今も食卓に残る。今夜、屋敷があなたのために開く扉と、ずっと閉ざしてきた扉を知る。
どの店も暗くなる一時間前に鍵をかけ、理由を話す者はいない。宿屋の主人は鍵を滑らせ、金曜までに出て行けと懇願する。教会の鐘が十三回鳴る。あなたは残る。
新居で迎えた最初の夜、引っかく音が始まる。あなたが動けば部屋から部屋へ、漆喰のすぐ向こうをついてくる。大家はネズミなどいないと言う。ある夜、二度叩くと、何かが叩き返す。
妹は四十秒間水に沈み、笑顔で浮かび上がった。生まれる前の出来事を覚え、母の顔を忘れていく。皆は生きていてよかったと言う。もう「彼女」と呼んでいいのかわからない。
深夜勤務の給料は三倍。ラミネートされたカードには規則が四つ。第一条、誰が頼んでも東の扉を開けるな。午前三時、兄の声で誰かが扉を開けてと頼む。
研究施設は八か月前、通信の途中で沈黙した。回収契約の対象はただ一人、あなた。発電機はうなり、やかんはまだ温かい。調査隊が見つけたものは今もここにいて、施設をきれいに保っている。
手にあざを作り、身に覚えのない感謝状を持って目覚める。友人たちは先週の火曜は楽しかったと言い張る。やがて自分の筆跡で書かれた警告を見つける。「あいつらを信じるな」。
嵐が村を引き裂くなか、あなたと七人の他人は地下室へ逃げ込む。誰かが内側から扉をかんぬきで閉める。全員が自分ではないと言う。数えたのは八人。ろうそくが一本ずつ消えていく。
夜行列車は十一両編成。乗客名簿にない男が一人、いつもあなたの一両後ろにいる。車掌は名簿を確認し、笑顔であなたは一人旅だと断言する。
隣人の腕に出た発疹が通りから通りへ広がる、昨夜ひとりでに灯った灯台。自分の悪夢を語り手に伝えてもいい。一文にできるなら、その中へ入れる。
多くのホラーアプリが扱うのは、突然の音や顔で驚かせ、それきり忘れる恐怖だ。次の場面は、あなたが怖がったことすら覚えていない。ルーンブックのホラーは違う。語り手が物語を記憶することで、恐怖にできることが変わる。
物語は何を恐れ、何から逃げ、何を無視したかを覚えている。最初のチャプターで地下室に鍵をかければ、家は閉じ込める癖に気づく。鏡を見ることを拒めば、数チャプター後、物語はその鏡で待っている。過去を知る恐怖は叫ぶ必要がない。
あなたが動かなくても世界は動く。管理人の手紙を読むか一晩迷えば、果樹園の何かはその一晩で玄関へ近づく。ルーンブックは勇気が出るまで場面を止めてはくれない。ホラーでは、時計も怪物の一部だ。
行動は何ひとつ消えない。嘘をつかれた相手はその嘘を覚え、開け放した扉は開いたまま。一場面後には選択であり、十場面後には歴史になる。そして、あなたのした何かが今も待っている。
「潮が何かを運んでくる静かな海辺の町」「部屋が一つ多い家を相続した」。一文あれば十分。語り手が世界、登場人物、奥に隠れた秘密を作り、あなたをその中へ置く。
提案を選ぶか、空白に何でも書こう。「壁に耳を当て、二度叩く」も立派な行動だ。声に出すこともできるが、この物語ではささやきたくなるかもしれない。すべてが息を潜めた一瞬にかかる重大な局面では、運命も口を挟む。
場面が変わっても何もリセットされない。壁の中の何かにつけた名、信じた隣人、笑い飛ばした警告。物語は実際の行動を受け継ぐ。世界は進行状況だけでなく、代償まで記録している。
ダウンロードも、覚えるルールも、設定も不要。ルーンブックはスマートフォン、タブレット、パソコンのブラウザで動く。午前一時、顔の近くで持つスマートフォンこそホラーの居場所だ。物語は場面画像を織り込んだ小説のように読める。ナレーションをオンにすれば、出会う人物の声とともに一語ずつ読み上げられる。信じていた声がすべてを変える一言を告げるのは、どこか決定的におかしい。
選択式ホラーアプリが差し出すのは、扉A、扉B、すでに用意された結末。ルーンブックが差し出すのは空白の一行だ。手紙を読まずに燃やし、逃げずに怪物と親しくなる。作者が想定しなかった行動にも、物語は壊れず形を変える。怖い声のキャラクターとの雑談ではなく、構成のある物語だ。チャットボットは驚きを即興できても、怪異を最後まで描けない。ドラマとは、あなたが言ったことで変わるものだ。
ルーンブックのホラーは必ず何かを隠している。深く調べても謎が崩れないからこそ、恐怖には報いがある。秘密がどう明らかになり、何を代償にするかは選択次第。そして物語には結末がある。あなたの決断が築いたクライマックスへ向かう。怖い物語と怖いだけの背景の違いだ。終わりのないアプリでは何も賭けられず、本当には怖くない。ここでは結末が近づき、あなたの行動を知っている。
扉の向こうにあるのはホラーだけではない。ルーンブックの物語はすべて同じ記憶で動き、恐怖だけが任意だ。